Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「先……っ!」

「大丈夫。お前は走れ!」

 凛花は、真っ青な顔をして、僕の声にはじかれたようにひょこん、とうなづくと、全速力で駆け出した。

 職員室に向かって。

 一人でも多く、人間のいるところに向かって。

 そう、それでいい。



 お前は、逃げ延びろ……!



「……ナニが、大丈夫だって?
 え? 皇子サマ」

 赤髪が長い舌で、血を舐めとりながらにやにや笑う。

 その、舌のはいずる気持ち悪い感触に、鳥肌が立つ。

「これから、どうしてやろうか?」

 赤髪は、僕の着ているシャツに手をかけると一気に引き裂いた。

 
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