Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 新たなる敵の出現に手間取っているうちに、赤髪は、体育倉庫の窓までたどり着いていた。

 吸血鬼の輪らしい、そこに足をかけて、ヤツは吼える。

「いいか、覚えていろよ……!
 この目の代償は高くつくと思え!」

「……莫迦野郎!
 喧嘩を売ってきたのはそっちだろう!
 負けて吼えるな」

 ……二度と現れるな!

 僕は、僕なりに、今まで穏やかに暮らしてきたのに。

 僕の言葉をどれだけ聞いたのかは、わからない。

 赤髪は、けっ、と唾を吐き捨てると、窓の異空間に身を投げた。

 そして。


 ぱりん。


 すぐ後に内側から、窓が壊される音がした。


 ……吸血鬼の輪を壊したか。

 よほど目をやられたのが、ヤツにとって痛手だったらしい。


 今、僕が追って来れないように、ねぐらへの道を潰したのだ。

 
 
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