Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 血液と共に、希望と呼ばれる何物かもが、一緒に出て行ってしまったようで、僕は力無く目を閉じた。




 ……そう。

 このまま眠ってしまったら。

 死者の国には、仲間が待っているに違いない。

 赤髪や、土山の化け物とは違う、優しい翼を持った、仲間達が……



 ………


 半分諦めにも似た吐息をついた時。

 僕は、新たな音に気がついた。





 たん、たん、たん



 扉を叩く音だ。

 ……軽い。

 少し前に、土山の化け物達が扉を壊さんばかりに叩いていた音とは、明らかに違う音だった。

「……先生、鈴木先生っ!
 中に居ますか!?
 大丈夫ですか!?」





 ……凛花。




 大槻 凛花の声だった。

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