Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「……はい」

 凛花の声が、少し残念そうに聞こえたのは、やっぱり、松嶋と離れてしまうからだろう。

 側についてくれるのなら、松嶋よりも、凛花の方が、百倍良い。

 そう、ちらりと思って苦笑する。

 土山の化け物がうろうろしている場所に残るんだ。

 本来なら、一介の体育教師にだって、荷が勝ちすぎる。

「鈴木先生……!
 待っててください!
 今、持って来ますから!」

 凛花の声も、必死だ。

「ああ」

 去って行く凛花の気配を感じながら、もう少しだけ生きてみようか、と思う。

「人間」として。

 例え、凛花の心が松嶋の元にあったとしても……


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