Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「凛花。そこのロッカーに、松嶋……先生のがあるよね?
 もし、開くようだったら開けて欲しいんだ」

「え……でも……」

 気を取り直して頼んだ僕の言葉に、凛花は、狼狽した。

 それはそうだろう。

 普通、他人のロッカーなんぞは、どんな時でも、ほいほいとは開けない。

 僕は、もっともらしい理由をつけた。

「松嶋先生は、体育教師だから、予備のジャージでもあったら、借りようかと思って。
 この格好じゃ、救急車に乗るどころか、誰かに扉を開けてもらうにも困るから」

 ぼろぼろのシャツで止血され、ズボンは血で汚れたので捨てた。

 素肌にカーテンを巻いて、寝ている僕の状態に納得したらしい。

 凛花は、松嶋のロッカーを探し出すと、ダサダサの青ジャージの上下を持って来た。
 
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