Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 実際は、一瞬の出来事だったかもしれない。

 だけども、僕には、まるでスローモーションのように、ゆっくりと時間が過ぎた。

 僕は凛花を抱いて、風を切って落ちてゆく。

 僕がたった一人で生きて来た、何百年という時間が、凝縮されて脳裏をよぎるのを感じながら。




 そして、地面に激突する寸前。



 死神が。


 死の国からの使いが、闇より暗い漆黒の翼を閃かせ、て飛んで来た。

 なぜか、太陽と草原の匂いのする死神は、僕と凛花とを両腕に抱いて軽々とさらってゆく。

 どこかへ。






 
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