Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
Ⅷ章
求めしもの
さや さや さや
静かな風の音がする。
夜風が、優しく草を揺らす音だ。
開け放たれた大きな窓からは、初夏のさっぱりとした風と共に、月光がさんさんと射し込んで、僕を癒やした。
銃弾で傷き、灰になりかけた左肩から足までの身体を、ゆっくりと。
確実に。
………。
僕は窓際のベッドに横たわり、どこまでも続く大草原を眺めていた。
こんなにも、穏やかな気分になったのは、久しぶりだった。
ここがどこだかは、判らなかった。
それでも、いい、と思える程に。
僕が、寝ているのはキングサイズよりも、大きなベッドだ。
隣には、凛花が静かに寝息をたてていた。
毛布一つ掛けないままで。
化け物達にやられたのか、服は裂け、全裸よりも艶かしい肢体を月光の元にそのままさらしている。