Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「……にを言っているんだ!
 凛花は、お前の生徒じゃなかったのか……!?
 しかも、お前のことを慕っている……!」

「吸血鬼の魅了の魔法に犯されて、イカれた、ただの女だよ。
 あんたも、今までそうやって食事を摂ってきたんじゃないのか?」

 ……違う、とは言い切れなかった。

 しかし、しかし、しかし!

 そう、とは絶対に言いたくなかった。

「お前がそんな風に考えるのなら、僕は、絶対、凛花を渡さない!」

「もとより、あんたにやるつもりの獲物だった。
 俺に異存はない」

「……お前は、もっと教師らしい……
 たとえ、吸血鬼だとしても、人間よりな奴だと思っていた」

 松嶋が、吸血鬼ではないか、という予感は前からしてはいた。

 僕の体重は、同じ体型の人間に比べて、五キロや十キロ軽いわけではない。

 松嶋は、朝礼で倒れた僕を抱えて、明らかな違いを騒ぎ立てる事は無かった。

 そして、赤髪の男と対決した時、僕の爪を見てたのに。

 あの時、赤髪が急に退散したのだって、きっと、人間の気配に逃げたのではない。

 二人の吸血鬼と同時に戦いたくなかったからかもしれなかった。
 
< 175 / 298 >

この作品をシェア

pagetop