Ｈｏｌｙ×Ｋｉｓｓ～闇の皇子より愛を込めて～【吸血鬼伝説】

　残月は、言ってて総毛立ったのか､ぶるっと身を振るわせた。

　相当すごいシロモノらしい。

「しかも、牙王は造られた吸血鬼を……自分の兄弟とも言える者達を好んで喰う。
　あれもまた、肉体的には成功しても、その精神はもたなかったのかもしれない」

　残月は、目を伏せた。

｢人間共は、オリジナルの私の細胞から、人工的に体組織を大量生産できるようになったようだ。
　極､最近のことだし、まだ実験中のようだ。
　……場所は、あの東星学園の中等部か、高等部の校庭の地下｡
　情報では大規模な、半分工場、半分病院のような施設はずなのに、出入り口が見つからない。
　ゆっくり探すために体育教師として赴任した……それが、大体一ヶ月前。
四月のことだ｣

　もたもたしているうちに、殺人が起こり、さらに皇子が、赴任して来た。

　追っ手の存在を薄々感じていた牙王は、私と皇子を取り違えて攻撃して来たのではないか。

　そう、締めくくって、残月は長い話を終えた。

「それじゃあ、あの、土山の化け物は……」

「死んでも金がほしいと思う者や、居なくなってもわからない家出人……実験に参加した人間のなれの果てだと思う」