Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 僕が、ほっと気を緩めたのを何と勘違いしたのか、凛花は怒りだした。

「何よ!
 何でそんな顔して見ているのよ!
 先生って、本当にえっち……って、もしかして、私に何かした!?」

 凛花は、かんかんだ。

「わぁ、待て。違う!
 何もしてないって!
 神に誓って指一本……っぷ」

 僕の話しなんか、一言も聞きゃしない。

 もう一度、クッションが飛んで来て、今度は、頬を掠める。

「鈴木先生の事は、ヒナが本当に好きなのに……!
 先生だって、ヒナが好きになったから、はじめて会った喫茶店でいろいろな事をしたんでしょう!?」

「あ……う」

 ……バレている。

 篠田は、凛花に何もかも話したのか。

「それなのに……鈴木先生と変な事になったら、ヒナに何て言ったらいいのよ!
 ヒナは、家出しちゃうくらい悩んでいたのに!
 ……それに」

 言いながら、凛花は、肩を震わせてしゃくりあげはじめた。

「私だって、私だって、好きな人がいるのに!」
 
< 192 / 298 >

この作品をシェア

pagetop