Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「……だから、名前を呼べ」
鏡面をつつくと、さざ波がわらう。
「だって、皇子の名前は、長いうえに、発音が難しいのですよ。
……それとも、わたくしもあなたを『夜』とお呼びしても?」
「……見てたのか?」
僕の名前は、人間に発音するのが難しい。
日本語で自分の名前と同じ意味を持つ、名前を教えたのは、ただ一人だけだった。
昨日、僕の手で旅だった女にだけ。
僕の声に、険があるのを聞き取って、鏡面は、困ったように、さざ波をたてた。
鏡面をつつくと、さざ波がわらう。
「だって、皇子の名前は、長いうえに、発音が難しいのですよ。
……それとも、わたくしもあなたを『夜』とお呼びしても?」
「……見てたのか?」
僕の名前は、人間に発音するのが難しい。
日本語で自分の名前と同じ意味を持つ、名前を教えたのは、ただ一人だけだった。
昨日、僕の手で旅だった女にだけ。
僕の声に、険があるのを聞き取って、鏡面は、困ったように、さざ波をたてた。