Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「わたくしは『千里眼』ですもの。
 あなたの事を想っていたら……つい、見てしまったのですわ。
 わたくしの愛しい皇子さま」

「千里。
 お前は、一度自分に映したモノは皆。
 どこにいても、遠くに離れても、再び映し出す事の出来る『魔鏡』だ。
 とはいえ、僕が吸血鬼の本性に近いときには、お前は僕の姿を写せないはずだろう?」

「ええ」

「なのに……よくもまあ、お前は、姿の見えない僕がどこに居るかわかる」

「それは、もう、愛の力ですわ」

 鏡は、ころころと笑う。

「姿は、見えずとも、お慕い申し上げています。
 あなたの気配を感じて寄り添って、見えない姿を『眼』の変わりに、外を見るのが最近、一番の楽しみですのよ」

 ……頭が痛い。

「そういうのを、最近は、ストーカー行為と言うんだそうだ」

 僕は、クロゼットに歩いていきながら、ため息をついた。
 
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