Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「いや、置いてかないで!
 残月の行く場所は、私も行くんだから!」

 凛花の主張に、僕は首を振った。

「お前は、置いていく」

「嫌よ! きっと、私はまた何かの役に立つわ」




 


 ガンッ ダン ダンッ





 言い合いしているうちに、不気味な音が鳴り出した。

 校舎の中に通じる階段の方からだ。

 ……土山の化け物が来たのか?

 この屋上も、どうやら傍観席にはならないらしい。

 かすかに怯えたように、隣家は、残月の上着のすそを握り締めた。

 それに気がつくと、残月は、ため息をついて彼女を抱き上げる。

「仕方ありません。全員で行きましょう。
 ただし、本当に危険になったら、皇子は必ず逃げてくださいね?
 誰かを助けるなんて事は絶対に考えないで。
 あなたに何かがあったら、私は自分の『生』でさえ意味が無い。
 ……判りましたか?」

 有無を言わさない残月の言葉に、僕はしぶしぶうなずいた。
 
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