Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
血と硝煙の臭いと。
大きく掘り起こされ、抉り取られた大地とが。
少々規模は大きいものの『普通』の学校だった東星学園の校庭を、非現実的な場所に突き落としていた。
人間はたとえ、武装していても、一対一では、はるかに化け物たちも方が強い。
今だかつて無い出来事に、人間達は右往左往し、みすみす仲間達を失ってしまっていた。
盾を構えた人々が作るバリケードは、じりじりと後ろに下がり、化け物たちを校庭から出さないだけで精一杯のようだった。
許されるのなら。
学園全体を丸ごと焼こう、と考える輩も遠くないうちに出てくるに違いない。
地上は。
残月でなくても、そう思うような凄惨な現場だった。
しかも。
『吸血鬼の輪』があると思われるその場所は。
人間と化け物たちが一進一退の攻防を繰返している、その最前線にあった。