Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 




 がさがさがさ!




 土山の化け物達が、一斉に、こちらを見る。



 グァ二ィィィィィン!



 土山の化け物達が、動き、エンキが吼えた。

 僕達に向かって来る、化け物達をそのねばねばの尾でなぎはらう。

 エンキは、僕を護る方につくらしい。

 そして。

 すっと、当然のように残月が、僕の前に立った。

 エンキの尾をかいくぐり、更に襲って来た土山の化け物を、切り裂いて、残月は、囁いた。

「私は……あなたよりも、こちら側に近い」

 残月の声も表情を消したように、硬く冷たい。

 しかし。

 僕を庇うその広い背中は、泣いているように見えた。





 僕も(私も)、お前と(あなたと)同じモノだったら良かったのに。






 
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