Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「それに、本当に、護りの心配は、ない。
 僕は、強い」

 僕は、襲ってきた土山の化け物を、爪を長く伸ばしながら、切り裂いた。

 化け物は、咽を裂かれて、即死する。

「ここに居る誰よりも、僕は強い。
 エンキも、味方の様だし、そうやすやすとはやられない。
 全部の怪物が、僕に惹かれているのなら、僕は囮ぐらいで丁度いいさ。
 ……大槻刑事」

「な、なんだ」

 突然僕に振られて、戸惑った穣が、聞いてきた。

「お前も、残月と一緒に行って奥にいる人間を片端から逮捕しろ。
 何の罪になるか、僕にはわからないけれど、これは、人の法に照らしても、明らかに違法だろう?」

「化け物に、言われるまでも無い!」

 ムキになって叫ぶように怒鳴った刑事に、僕は、軽く笑った。

 土山の化け物を蹴り飛ばしながら。

「……それと、凛花。
 お前は、無事で」

「うん……だけど……本当に大丈夫?
 何か、このままもう、会えないような、言い方ね……?」

「そんなことはない。
 残月が、爆薬を仕掛け、大槻刑事が怪物に変化していない人間を捕まえたら、またここを通って皆で地上に出るんだ。
 すぐだよ」
 
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