Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「……せっかくの提案だが、断る。
 そんな遊びは、僕の趣味じゃない」

 ……こいつの『遊び』がどんなものか、予測はついてはいた。

 しかし、人にあらざるモノ同士、何か歩み寄れる所がないか、と考えた僕が甘かった。

 ……こいつは、狂っている。

 血に。

 肉の欲望に。

「僕の孤独を癒やす者は、僕が自分で決める。
……しかし、それは、お前じゃない!」

 僕が言うと、牙王はまた、ぎゃはははと笑った。

「残月を供にするから、オレ様は、要らねえっていうのか?
 危ねぇな。
 オレ様がこれだけキサマに執着しているんだ。
 その大元になっているあの男が、キサマをタダで護るなんて、本気で思っているのか?」

 牙王は、笑い過ぎて痛むらしい、自分の腹を抱えた。

「あの、人形みたいに取り澄ました顔の下に、何を隠しているのかなぁ!
 判った時には、キサマは、アイツの餌食だ!
 食い尽くされる前に、このオレが、一口、頂戴しようと思って何が悪い!」

「黙れ!」

 そんなことは、有り得ない!

 残月は、凛花のことを愛している。
 
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