Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
『シトシン! シトシン……シトシン……チミン!』

「言っている事が判らない!
 さあ、お前も、そこをどけ!」

 僕の言葉に、エンキは頭を振った。

 そして。

 意外に素早い動きで腕を掴むと、僕を残月に向かって放り投げたのだ。

「エンキ!」

「エンキも、ここを早く出ろと言っているんです!」

 残月は、僕を上手く受け止めて、怒鳴った。

 エンキ!

 そう、エンキも外に出さなくては!

 これが地上に出て行ったら、騒動になるだろうが、無事でさえいれば!

 あとは僕が、何とかしてみせる……!

「エンキ! お前も来い!」






 アデニィィィィィィン!!!!





 エンキは、一瞬驚いた顔をして。

 そして、嬉しそうに吼えると……






 ……僕達から遠のいた。





  
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