Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「皇子、あなたは、一体何を……!」

 僕が、口の中で唱える言葉を聞きとがめて、残月が肩を揺すった。

「ここの……床……全部……を『吸血鬼の輪』……にして……
 ……僕の屋敷に……直結……して……やる……!」



 ……苦しい……





 ……こんな……大きいモノを『輪』にしたことは……今までに……ない……




 それが……こんなに……苦しい……ものだったなんて……




 ……でも、やるんだ。





 ……皆が……生き延びるのは……



 ……これしか……ない……から……!

「駄目です、皇子!
 そんな事をしたら、あなたは灰になってしまいますよ!」

「いい……!」




 たとえ灰に……なっても……





 ……より……多くの……を……




 命を……救えるのなら……





 なすすべもなく……




 指の間からすり抜ける……命を……




 これ以上……見たく無い……







 みたくなんかないんだ!!!!





 
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