Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 無謀な行為だと言う事は、百も承知だった。

 体力が急速に奪われてゆくのが判る。

 僕は、崩れるように、膝をついた。

 言葉の力で、ホールの空間が、ぐにゃりと曲がってゆくのを感じる。



 ぱ ぱ ぱ



 微かな。

 音とは言えないほど小さな衝撃を残して、僕の髪の先や、爪の先端が灰になる。




 ……僕が灰になったら……凛花は……泣いて……くれる……だろうか?

 それとも………莫迦な奴だと笑うの……だろうか……?



 千里は………きっと………怒る………だろう………な……




 僕は、微笑むと、残った全ての力を振り絞るべく立ち上がった。




 さあ……あとは。




『輪』にする範囲を……正確に………決める言葉……だけだ………



 ……あと一言で……『輪』が……完成する……!






 
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