Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 女がひときわ高い声をあげると、僕も一緒に爆発した。

 脈打つようにして放たれた体液が、女の中に浸透していく。

 生命を育むものではない、しかし、命をつなぐもの。

 血液を『食物』に変える物質が、女の身体を速やかに犯していく。

「は……あ……」

 急に力の抜けた身体を抱きとめて、僕は、抜かないまま、彼女を静かに仰向けにした。

 そして、乱れた髪を直すと、女の首筋に口づける。

 元は白かった首筋は、何度も噛まれ、痛々しくもぼろぼろだった。

 しかし、僕は。

 新しい傷を、またつける。

「ん……く…」

 痛みに、眉を寄せる女をしっかり抱いて、僕はあふれる血液を貪り飲んだ。


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