Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 強い視線が一つ。

 僕の顔に穴が開くかと思うほど睨みつけていた。

 ……ボニー・テールの女だ。

「あんた、何者なのよ!」

 ……初対面でケンカごしか。

 やれやれ。

 この女は、吸血鬼の魅了が効かないのか。

 僕の調子のせいか。

 そもそも、この少女が女ではない可能性も……って、それはないか。

 口調はともかく、ここ百年ぐらいはお目にかかった事がない、美人だ。

 女性に、こんな態度をとられた事は今までにほとんどない。

 調子が狂いっ放しだった。

 僕は、ため息をつくと。

 時々いる、僕を詮索する男をかわすためアイテムをポニー・テールに、差し出した。

 ま、なんのことはない、ただの名刺だが。
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