Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「ん……」

 篠田は、小さく喘ぐと、ポツポツと話しだした。

「体育倉庫の掃除当番……本当は……私だったのに……マキに代わってもらったの……」

 少女は、潤んだ目を閉じる。

「そしたら……そしたら……」

 僕は、少女を壊れものをくるむように抱きしめた。

「大丈夫。ここには、怖いものはないよ」

「う……ん」

 少女は、涙をはらはらと落とした。

「もしかしたら、私の方が、死んじゃうはずだったのに……マキが……あんなことになっちゃうなんて……!」

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