Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「あ……ふ……」

 女は、小さく喘ぐと、ぐったりとして動かなくなった。

 女のぼろぼろの首に、止血をして、急に小さくなってしまった身体を、毛布でくるむ。

 自分の身支度を整えていると、女が僕に呼びかけた。

「……ねぇ……もう、行ってしまうのね」

「ああ」

 痛々しいほど微かに囁く女の声に、僕はあっさりと頷いた。

「今度は、いつ……来るの……?」

「もう、来ない。今夜が最後の日だ……始める前に言ったように」

 僕の言葉に、女はよろよろと起き上がった。

「嫌よ……私を捨てないで……何でもあげるから……血ももっとあげる……愛してくれなくてもいいから……だか……ら」
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