Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「だけど、血液パックは、駄目なんだ」

 僕は、横になったまま、彼女を抱きよせた。

「血液の中に、嘔吐を促す物質が入っているのを知っているだろう?
あれ、吸血鬼にも有効なんだ。
 申し出は、すごく嬉しいけど、パックに入っているものは、飲めない」

「……そう、なんですか……」

 僕の腕の中で、残念そうに呟く彼女に聞いた。

「お前は、僕が吸血鬼だって知っているだろう? やっぱり、医者としては、僕の身体の仕組みに興味ある?」

「もちろん。 だけど……あなたが傷つくのなら……例え、注射一本だって、したくありません……!」

「そう……ありがとう」

「わたしが……何かお役に立てる事は、ありますか」

 半分泣きそうな顔で、聞いて来る彼女に僕は、言った。
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