Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 更にへの字になった口元を見ながら、僕は、軽く笑う。

 僕の「これ」は、魅了した結果のズルだから。

 本当にモテているわけではないんだ。

 なんて、教えられる訳もなく。

 僕の笑みを余裕のものと思ったらしい、松嶋は更に不機嫌になった。

 それにしても。

 こんなに、食事の元が集まるのなら、学校に赴任も悪くない。

「あんた。
良からぬ事を考えてないだろうな?
篠田も昨日から家出してる。
心当たりは無いだろうな?」

 うっ。

 意外に鋭い松嶋の言葉に、僕は、背中に冷や汗を一滴だけかいた。


「なんのことやら。
 それより、関係ない人は、教師とは言え出て行ってもらいますよ。
 仕事の邪魔です。
 速く、生徒が授業に戻って欲しいんでしょう?」

「まあな」

「じゃあ。
 お互い、仕事は、ベストを尽くしましょう。
 そうそう。
 恋愛相談も僕の仕事の内ですから、松嶋先生も何かお困りでしたら、力になりますよ?」

「ば……莫迦野郎!」

 本当に、恋の悩みの一つでもあるのだろうか?

 松嶋の顔はうっすら赤い。

 なにか、楽しかった。

 大槻みたいな美人に興味ない、この男は、どんな娘が好みなんだろうと考えると。
 
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