Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 がらっ、と勢い良く保健室の扉が開いて、最初に飛び込んできたのは、松嶋だった。

 保健室を見て、息を呑んだのが判る。

 部屋は僕と、養護教諭の血で染まっていた。

 白を基調とした部屋に、塗りたくられた赤は、彼の肝を潰すだろう。

 松嶋は、この惨状に驚いて、そのまま固まり、僕たちと男を見比べた。

 奇声を上げたり、血を見て昏倒しないだけ、人間としては、上出来だった。

 もし、下手に動いていたら、松嶋も男に絡め獲られて、ただではすまなかったかもしれない。

 松嶋の後から、他の人間達の気配もやって来るのがわかる。

 男は、血の混じった唾を吐くと、入ってきた窓枠に、後ろ向きで飛び乗った。

「デートの邪魔が入ったな。今度は、静かなところで、ヤろうぜ!」

 
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