夢の跡
僕は何度も、明日香からのメールの意味を咀嚼しようと試みた。

けれど、できない。

頭では理解しようとするけど、
気持ちがついていかなかった。


二階に用事があって来た母が、廊下に立ち尽くしている僕に寄ってきた。


「何してるの?」


何も知らない母の口調は投げ遣りだ。

どんな顔で僕を見ていたのか知らない。

ディスプレイから視線を上げられなくなっていたからだ。

< 42 / 76 >

この作品をシェア

pagetop