夢の跡
「ねぇ、…ちょっと…」


不審に思った母が、慌てて僕の肩を揺する。

力を失っていた僕は、その場に崩れた。


冷たい雫が、頬の上を滑り落ちていく。




僕は泣いていた。



もう何も聞こえない、

何も考えられない──。



「卓海が……!」


今にも消え失せそうなか細い声で、何度もそう呟いていた。



僕よりも小さな母に支えられながら、二人でリビングへと降りていった。



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