夢の跡
今日の卓海はよく笑う。

まるで、遠いところへ行って全てを悟ったように。


「次は出る。だから卓海も、出ようよ」

「うん。次は出る」


僕らはまた笑い合った。


それから少し間があいた。


あんなに会いたいと思っていたはずなのに、面白い話の一つも聞かせられない。

高校でのこと、
これから行く大学のこと、卓海がいなかった間のこと……


しかし、どれよりも今一番言いたいことが浮上してくる。



「卓海」

「なに?」



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