振り向け☆ダーリン!


「い、痛い…」

「あぁごめんごめん!」


その会話の後のしばらくの沈黙
アキトは今も隣でテレビの相手をしている。


と、手の中が震え、
青い光が点滅し始める。

“先に寝るよ。おやすみ”

あたしは竹内におやすみなさい、とだけ返した。
何処かひどく、寂しくなった


「…アキト兄」

「ん?」

「アキト兄は、好きな人とかいるの?」

何となく、
誰かと話して居なければいけない気がした。

「うん、居るよ」

「…そ、か」

「何、ユズホ居るの」

「…うん」

アキトの質問があまりに図星すぎて、
恥ずかしくなって俯いた。

「すごく好きなんだけど、どうしたらいいか、何したらいいか分かんなくって…」

「ふむ」

アキト兄は少し眉間にしわを寄せて
横目であたしを見た。

「あくまで、俺の意見だけど」

「うん」

「好きな奴には好き、って言えば良いんじゃね?」

俺脳みそ小さいからそれくらいしか思いつかねーや、って
笑いながら自分の頭を指差して笑った。



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