君を
「永久、どうしたんだよ。らしくない」
ミネラルウォーターのペットボトルを差し出される。
額に当てると外気に触れて出来た水滴で濡れる。
そういえば、昨夜触れたアイツも冷たかったと、ぼやけて定まらない頭が思い出す。
アイツはオレの名前を言い続けていると思ったら、ひくりと背中を震わせ、過呼吸になった。
考えるよりも先に、体を楽にさせ、キッチンにあった紙袋を取りに行っていた。
紙袋を寄せたアイツの頬も、指先もどんどん白くなり、脂汗の浮いた体は妙に冷たかった。
「おいっおいっ」
意識を失ったら、もう相良すなおは戻ってこないのではないかと初めて自分が怯えているのが分かった。
なにを叫んでいるのか分からなった。
袋を口元に当て、もう一度目を開けと願っていた。
その時羽夏が帰ってきた。
背中を蹴り飛ばされ、相良すなおを奪い取ると必死に呼びかけ、呼吸の仕方を思い出させる。
暫くして、もう一度開いた瞳は、オレじゃなく羽夏を見ていた。
「分からない。何してんだオレ……」
春兎は黙ったまま。
「相良すなお…」
記憶にない事が辛かった。
思い出せない事が嫌だった。