にょっひら
妖精『うわッ!何ここ!くっさい国やなぁ…何で私がこんなとこに来なくちゃいけねぇんだよ…ジジイめ…』

【こんな悲しい誕生日はないでしょう】

妖精『えーっと、国名を広めりゃ良いんだな…って、どうやって!?つか、任務終わったらどうやって帰んだよ!?…あーもーやだ!』

【と、そこに鏡がありました。何の変哲もない小さな小さな鏡です】

妖精『んだ、これ』

【妖精さんは不思議に思い人差し指と親指で汚いものを拾うように持ちました。その時、鏡が輝きました】

妖精『うわッ!』

国王『やあ、ジュリア、ご機嫌如何?』

妖精『んだよ、ジジイか』

【ジュリアではない筈の妖精さんは国王が映し出された鏡を訝しげに見ます】

国王『この鏡は大切に持ち歩くんだよ。そして任務終了したら、鏡に向かって大声で国名を叫ぶんだ。そうしたら帰ってこれるから』

【気持ち悪いウィンク付きで国王が言うと鏡はまた妖精さんを映しました。妖精さんは溜め息を吐き『仰せのままに』と、小さく呟くと粉を振りまいてその場から飛び立ちました】

妖精『仕方ない。あの家で良いや…漢字…読めん!誰かは知らんがゴメンよ、迷惑かけるぜ!』

【神崎さんの家の窓の隙間から忍び込むとベッドに横たわる姿を見つけました】

妖精『寝相悪ッ!…まあ、良いや。任務…開始』

「にょっひら…にょっひら…にょっひら…にょっひら…にょっひら…にょっひら…にょっひら…にょっひら…」

妖精『アンタはこれで他人に我が国名を喋らずにはいられなくなる。…任務遂行』

【そして、同じように窓の隙間から抜け出して窓を閉めると妖精さんは鏡を取り出し叫びました】

妖精『にょっひらーーー!!!!』
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop