アマテラス!
「あれれっ? 天照にしてはいやに聞き分けがいいね!」
「余計な世話だ。詳しい話は追々聞く。ジジイもああ見えてただのボケジジイじゃねぇからな。何か理由があんだろ」
「へぇ! 分かってるじゃない」
今宵は満月。
行灯がなくとも柳塘は明るく照らされている。
水の音と柳の葉擦れが耳に心地良い。
「で、何処に行きゃいいんだ?」
「まずは西だね。伝てがあるでしょう?」
「ああ、でもまずは寝る場所の確保だな。……ったく、あのジジイ。ハナッから追い出すつもりなら昼間にしとけよ」
「あと食糧と着替えも確保しないとね~」
「無一文だよ、馬鹿」
こうして訳も分からないままに、オレと幼児と携帯賽銭箱の旅が始まった。
訳も分からない、なにをなすのか分からないまま丸裸の状態でほっぽり出されたが、不思議と何とかなる気がした。
脳天気だけが唯一の取り柄だ。
のたりのたりと行きますか。