アマテラス!
「おや、おかえり天照。もうご飯は出来とるよ」
居間の戸を開けると、丁度ジジイが米櫃から飯を装っているところだった。
ちゃぶ台の上をチラリと見る。
――米と……しば漬けか。
たくあんではなかったが正直どちらでも似たようなものだ。
再び深い溜め息を吐く。
埃臭い粗末な居間に男二人、向き合いながら黙々と飯を食らう。
カチャカチャと茶碗の鳴る音がやけに寂しい。
「おい……糞ジジイ」
「なんじゃ、糞ガキ」
「せめて味噌汁くれぇは付かねぇのかよ」
「何を言っとるか糞ガキ。今日も収穫ゼロだったんじゃ。白米にありつけるだけ有り難く思え」
何だと糞ジジイ。
健全な十九歳男児が米と漬物だけで健やかに育てるわけねぇだろう。
「このままじゃあ飢え死にするわボケ。糞ジジイもこんな採算の合わねぇ神社とっとと売っ払って再就職しろってんだ」
「馬鹿も休み休みにせんか糞ガキ!!」
ジジイが叫びながらちゃぶ台をひっくり返す。
ガシャーンという盛大な音と共に貴重なしば漬けが空を飛んだ。