アマテラス!
「よく聞けい! 天照! この言祝神社はな、八十八代前の……」



また始まった。
ジジイの『由緒正しき言祝神社物語』だ。
小さい頃から事あるごとにこの話。
そろそろ心を無にして右から左へ聞き流す術も覚える。
オレは忘我の境地で飯を掻き込みジジイの話を聞き流した。



「……と、いうわけだ。いいか、天照。だから儂の代でこの由緒正しき言祝神社を潰すわけにはいかん。もちろん、お前の代でもだ」



ようやくジジイの話が終わったようだ。
ハアハアと息を切らしジジイはオレを見据える。



「聞いておるんか、天照」

「へーへー」



あからさまな生返事に呆れたのか、ジジイは盛大に溜め息を吐き肩を落とす。



「天照、儂は心配で堪らん。ここ数年で参拝客は見る見る減り、国の方針も変わり頼みの給付金も雀の涙ほどだ。この国の信仰離れはあまりに深刻だ。だというに……」



ジジイはオレの顔をじっと見ると、目を逸らして嘆息を零した。



「跡継ぎがコレじゃな……」

「悪かったな。こんなんで」



頭もガラも目付き悪い、不肖な孫の自覚はあるが、正直このジジイあってこの孫ありだ。
こんな風に嘆かれる謂れはない。
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