アマテラス!
あの後必死に家の中に入ろうとしたが、ジジイがすべて鍵を掛けてしまって叶わなかった。
蹴破ってやろうかと思ったが、後が恐いので止めておいた。
仕方なく言われた通りに社の方へフラフラと歩いて行く。
真ん丸の月が空の天辺で神社を明るく照らしている。
虫の声は綺麗だし夜風も涼しくて心地良い。
「ま、一晩この辺をふらつくのも悪かねぇな」
修行の旅なんざ糞喰らえだ。
どうせいつものジジイの気紛れだろう。
気紛れに旅立たされちゃぁたまったもんじゃないが。
まぁ、明日の朝にでもフラリと家に帰れば何事もなかったように中に入れるだろう。
呑気にそんなことを考えながらフラフラと社の前へと向かう。
「ん……?」
社の前に誰かいる。
そういえばジジイが助っ人がどうのこうのと言っていたな。
可哀想に。
あいつも多分耄碌ジジイの気紛れに振り回された被害者に違いない。
青白い月影に照らし出された人の影に近付く。
「おい……」
あと五、六歩というところではたと足を止める。
その人影は妙に小さいのだ。
目を凝らす。
賽銭箱の上に腰掛けているのは、ふわふわの金の髪にクリクリとした大きな瞳を持つ、何処からどう見ても五、六歳くらいの幼児だった。