冷たい月
お袋への反発からか
俺は
教師になる道を選んだ
親父だけが
そんな俺を応援してくれた
就職が決まった日に
食事に誘ってくれた親父が
家を出る事を認めてくれた
いつだったか覚えてはないが
その日の出来事は覚えている
親父が俺だけを連れて
東京タワーに
車の窓から
綺麗な満月が見えた
展望台で
親父が俺に
『俺はいつでもお前の味方だ』
そう言ってくれた
いつも
仕事に追われ
家を空けていてばかりで
家の中の事には無関心なんだと
思っていた俺は
驚いた