冷たい月
『誰かにみられたら面倒だよ』
『けど…』
『着いたら連絡するから』
『携帯貸せよ、登録するから。
璃空、お前のも俺のに登録しろ』
鞄をゴソゴソと探している璃空
その間に俺も携帯を持ってきた
赤外線通信がまだなかった
玄関でお互いの携帯に登録した
『連絡まってるからな』
『うん』
『ちょっと待ってろ』
俺はリビングに急いで戻った
渡したい物があった
『これ、持ってろ』
『これって…』
『この部屋の鍵だ』
実は昨日
渡そうと用意していた
鍵に東京タワーの
キーホルダーをつけて
キーホルダーは
あの日
親父が買ってくれた物だ