冷たい月



しばらくして
璃空が話し出した。






『先生、そんなに優しくしないで…



私に構わなくていいから…



もう大丈夫だから』






そう言うと
璃空は体勢を直し

読んでいた本をカバンに入れ



慌ただしく
ハシゴに向かい、降り始めた。







手の中のしおりを
俺は握りしめ



璃空のあとを追った。







…俺は…俺は…








大丈夫と言ったあとの璃空の目

まるでガラスのようで
すぐに壊れてしまいそうだった。



< 41 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop