ふたまた彼氏
「美紅の気持ち
すっごい分かるよ?」

そう言ったのは
唯一の親友の紗枝だった。


紗枝はあたしのために
何度も何度も
涙を流してくれた。


恋を仕掛けるたび
紗枝は応援してくれる。

だけど思いはすぐに
あの頃と重なって
消えてなくなってしまう。




「ねぇ。
だからもぅ1度
あたしは美紅に
恋してほしいんだよ。」


恋をすれば確かに
明るくなるし
笑顔も増える。

だけどあの頃の
思い出がフラッシュバックして
胸が痛む。


信じること全てが
また、裏切られる気がして

人を信じること自体が
あたしの中で
あり得ないことだった。

「今、あの人のこと
どう思ってるの?」

「わっかんない…
好きなのか嫌いなのか
それさえも…っ。」

唇を噛みしめる。
体に力が入る。



あたしの気持ちは
どうなってるの…?
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