ふたまた彼氏

「会いたいっっ・・・・・。」

『今から?』

「うんっっ・・・!!」


我侭でごめんね



ただ隆斗があたしの
彼氏だってこと

今、身で感じたいの。

『いーよ。』


電話を切ると
急いで用意し始める。

目前の夏のせいか
むわっと温い
空気が流れる。

駅まで走った。
早く会いたくて。


風達が真横をすり抜ける。


走り去るとき




[ヤメナサイ]


と聞こえた気がした。


「いーの・・・・
ほっといて・・・


あたしは・・・

これでいいの!!」

また進める足。

走りながら踏む雑草が
なんだか誇らしそうで

避けながら走った。


あたしはこれでいい。


偏った愛情だって
それでもいい。



好きな人があたしの


隣に居てくれるだけで・・・
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