ふたまた彼氏
「しっかし・・・
本当に着いて来て
くれるとは思っても
なかった。」

『優しいからな、俺。』

「はいはい。」

昨日始めて会った
相手とは思えないくらい
溶け込んでいて
それでいて話しやすい。

ずっとまえから
知り合いだったみたい。

「家、ここだから。」

『りょーかい。
明日もまた
さボんじゃねーぞ。』

「はいはい。」

ひらひらと手を高く上げ
手を振った。

かちゃんと鍵をかけて
家の中に入る。

「今の子・・・誰?」

嬉しそうに聞いてくるのは
あたしのお母さん。

「クラスの子・・・
なんでもない子だよ。」

「なんでもない子と
一緒に帰るなんて
そんな話あるわけ・・・

「あるの。
お母さんコイ話好きだね。
娘の話そんなに楽しい?」

えぇ。
と一度区切り
すごく。
と付け足した。

年の割にはまだ
若い考えを
持っているようだ。

「かっこいい
子だったじゃない。」

「はいはい。」

何歳なんだか
この人は。

嬉しそうに微笑む
お母さんを尻目に
スタスタと2階へ
上っていった。

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