あたいの運命
でもね。
愛撫され続けるのが、当時のあたいのプライドだった。
声も上げず、泣きもせず、ただ弄くられる生活。
毎夜の如く続く騒動に周囲が嗅ぎつき
幼いあたい達に質問攻め。
「礼恩ちゃんの家は何で毎晩、
騒がしいの?おうちで何が起きてるの?
オバチャン達にだけ教えて?」
あえて、姉よりも幼いあたいを狙った、
大人の卑劣な行為。
情報提供?
馬鹿言っちゃいけないよ。
あたいはそこらの女よりも誇り高い。
そう信じて誰にも言わなかった。
わずか5歳だった。

ただね・・・言わせて
我慢して前歩いて、押し黙って
誰が誉めてくれた?
誰が肩に手を差し伸べてくれた?
「辛かったね。」って誰が言ってくれた?
我慢して我慢して我慢して・・・
親は一言
「墓場まで持っていけ。」
あたいは何?
散々な目に遭わせておいて、
あたいごと秘密を埋めるの?

父は言う。
「お父さんがどれだけ苦労したと思う?
どれだけお前達を愛してると思う?」
じゃあ、聞くけど
「愛」って何ですか?
< 21 / 32 >

この作品をシェア

pagetop