あたいの運命
母との仲に亀裂が入り
姉とも不仲で
残るは祖母だけだった。
祖母は母にもあたい達にも厳しかった。
だけど、自分には甘かった。
あたい達の目の前で
母の耳をつかみ仏間へ連れて行き
せっかんが始まった。
自分の落ち度には目をつぶり
母の失敗には目の色を変えて
激怒する。

或る日のこと
あたいは祖母と叔父の会話を小耳に挟んだ。
「また頼むわね。」
少し前に、母と衝突した祖母は
叔父に1万円を渡して
そう言っていた。
幼いあたいにも、それがどういうことか
すぐに分かった。
「金で解決させた」
もう少し、違う表現をすれば
「叔父を買収した」 
・・・あたいの心は真っ暗だった。
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