あたいの運命
いろんなことがあった。
仕事初日から毎日続くイジメ。
地獄のような日々の中にも出会いはあった。
名前はケンタロウさんと言った。
ケンタロウさんはあたいを見た目や出身地で
決めず、「偏見」と言う壁を壊して
話しかけてきてくれた。
どうやら、あたいのことを気に入ってくれたらしい。

でも、すぐにナミの魔の手が及ぶ。
「礼恩ちゃん、誰か気になる人いるんでしょう？
応援したいから教えて！！」
本来のあたいならサイレンが鳴り響いていただろう。
しかし、あの当時の孤独なあたいには危険察知能力が
皆無に等しかった。
だから、ナミが反省していると思い込み、
心を許してしまった。

「あの毒舌はなかったことにしてやろう。」

そう思って話した後・・・何とナミはケンタロウさんと
付き合い始めた。恋物語が始まったばかりなのに
天井が落ちてきた。
「友達だって言ったよね？」あたいは真剣にナミに質問した。
「何の話？あの時、すでに私達は付き合っていたのよ。」
「・・・・？？？！！？」

絶対に嘘だと分かった。
あたいの告白の後、ナミはケンタロウさんにモーションをかけていたし
現にケンタロウさんとのベッドの上での話を始めた。
どういう神経をしているのだろう・・・今でも信じられない。
イジメだったことは分かっていた。
多勢に無勢。あたいは一人ぼっち。
あたいのやられっぷりを見て、皆、ナミ側についた。
あたいは一層、孤独になった。
「さようなら、ケンタロウさん。」
そう呟きながら泣いた。

・・・あの時、ケンタロウさんに聞けばよかった。
「本当にナミを愛しているんですか？」って。
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