黙れヘタレ

安堵をしケータイを取り出して
小林にまたメールを送る。

『高橋むかつく』

高橋が呼ばれるように
トイレから出てきた。
私はケータイに目を戻し
高橋が目の前を通る直前に
右足をそっと前に出した。

ジャストミート。
高橋は私の足に引っ掛かり
前のめりになる。
しかし地に指を付きバランスを整え
上手く立て直した。
チッ、
ベタなものに引っ掛かるほど
やわじゃないか。

「チクるなよ」

「は?」

「ケータイ」

私は奴を睨み付けた。
高橋は本当に分かっているのか
棒読みで「ああ」と返事をし
教室の中に入って行った。

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