お姫様
ベリーパイ
右手の先に見えるのは小さな惑星の小さな国。そこの真ん中に小さなお城が見受けられる。そこに住む小さなお姫様。昨日も今日も明日も寝てばかりな小さなお姫様。大好物はね、ママが作るベリーパイ。
お姫様は智美(さとみ)ちゃん。もっと小さい時から小さいお友達がいたの。お友達は聖(さとる)くん。二人はとっても仲良しな幼馴染み。他の子とはちょっと違うだけ。
智美ちゃんと聖くんは顔も知らない。年齢も知らない。知ってるのは互いの声だけ。
『みーちゃん、僕だよ』
『るーくん!もう!退屈だったんだから!』
聖くんには我が儘だって躊躇なく言うお姫様。智美ちゃんは心の底で聖くんに逢いたいと思うのでした。
ある日、呼び掛けても呼び掛けても聖くんの返事がしませんでした。
『るーくん?るーくん?ねぇ!るーくん!るーくんってば!』
その翌日。春の陽気の中お姫様は裏庭に行きました。
『るーくん…ねぇ、返事して…』
涙が一粒落ちると声が聞こえました。
『みーちゃん、僕は目の前にいるよ』
そこには一面ベリーパイが咲いていました。
『みーちゃんが大好きなベリーパイだよ』
『やだ!るーくんが良い!』
『みーちゃん、目を瞑って?』
戸惑いながら素直に智美ちゃんは目を瞑りました。すると、唇に何かが触れて、風が体にスーッと入ってきました。智美ちゃんは驚いて目を開きます。
『みーちゃん、僕は此処だよ』
脳内に響く聖くんの声。智美ちゃんは目を閉じて言いました。
『やっと逢えたね』
お姫様は智美(さとみ)ちゃん。もっと小さい時から小さいお友達がいたの。お友達は聖(さとる)くん。二人はとっても仲良しな幼馴染み。他の子とはちょっと違うだけ。
智美ちゃんと聖くんは顔も知らない。年齢も知らない。知ってるのは互いの声だけ。
『みーちゃん、僕だよ』
『るーくん!もう!退屈だったんだから!』
聖くんには我が儘だって躊躇なく言うお姫様。智美ちゃんは心の底で聖くんに逢いたいと思うのでした。
ある日、呼び掛けても呼び掛けても聖くんの返事がしませんでした。
『るーくん?るーくん?ねぇ!るーくん!るーくんってば!』
その翌日。春の陽気の中お姫様は裏庭に行きました。
『るーくん…ねぇ、返事して…』
涙が一粒落ちると声が聞こえました。
『みーちゃん、僕は目の前にいるよ』
そこには一面ベリーパイが咲いていました。
『みーちゃんが大好きなベリーパイだよ』
『やだ!るーくんが良い!』
『みーちゃん、目を瞑って?』
戸惑いながら素直に智美ちゃんは目を瞑りました。すると、唇に何かが触れて、風が体にスーッと入ってきました。智美ちゃんは驚いて目を開きます。
『みーちゃん、僕は此処だよ』
脳内に響く聖くんの声。智美ちゃんは目を閉じて言いました。
『やっと逢えたね』