青蝶夢 *Ⅱ*
『うるせぇ、かえ・・・』

『帰れ
 毎日、来るな

 その言葉を、お前に
 何度言われても
 俺は、ここに来る
 
 お前の左足が動くまで
 俺は、来る』

『勝手にしろ』

右足に力を込めて、立ち上がり
ふらつく芳野を、伊吹は支える

そして、ほんの少し
動いた左足。

二人の目頭が、熱くなる。

『やったな、ヨシノ
 よく、がんばった』

『おう』

笑い合う、二人・・・

芳野が普通の日常をここまで
過ごせるようになったのは
伊吹の支えがあったから・・・
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