青蝶夢 *Ⅱ*
玄関のドアの前、靴を履いた
私は立ち、貴方と別れの
口づけを交わす。

幾重も重なり合う、唇。

貴方は、顔を逸らした。

「また、逢える?」

「お前がさっきの約束を
 守れるなら、逢えるさ」

「守るよ
  
 貴方も大切だけど

 家族も大切だから・・・」
 
家族を、悲しませたくない。

家庭を、壊したくない・・・

ドアノブを掴む、私の手

貴方の手が、私の肩に触れる。

私は振り返り、もう一度
貴方の肩に両腕を回して
抱きついた。
< 121 / 334 >

この作品をシェア

pagetop